カベチョロのいる夏
ヤモリのことです。ウチの大分の実家の方ではカベチョロって呼んでました。
夏の夜、網戸の向こうに、吸盤のあるかわいい小さな手足を広げ、白くて柔らかそうなお腹を見せながら明かり目がけて飛んで来る虫を待って、じーっと止まっている。
子どもの頃、夏の夜は毎日そんなふうにかわいらしい網戸越しの隣人と暮らしていた。
でも上京するとあまり見かける機会がなく、都会では絶滅しつつあるか、してしまったのではないかと心配だったけど、今のアパートに越して来て二回目の夏に、近所にもちゃんと生息していることが分かってとても嬉しい。
アパートの下の階や通り向こうの家など、たくさん猫がいるので、残念ながらウチのアパートにはカベチョロはいない。
夜に「チッチッ」と鳴き声が聞こえるとホッとする。